金属加工業ではどのような労災が発生しますか?被災者はどのように対応すればよいですか?

①プレス機やベンダー機での手指切断事故、②切断機・研磨機による巻き込まれ事故、③飛来物や重量物によるけが、④高温・騒音環境による慢性的な健康被害などが金属加工業では発生します。

被災者は、労災保険の請求をするのみならず、会社への損害賠償請求も検討しましょう。

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金属加工業で労災が多い背景

金属加工業における労災多発の背景には、技術的要因と管理体制の不備などが複雑に関係しています。

機械操作中心の作業環境

金属の切断、せん断、プレス、曲げといった加工は、人力を遥かに超える大きなエネルギーを用いる機械によって行われます。

これらの機械は、高速の動作と非常に強い圧迫力を有しており、作業者が機械の動作範囲内に身体の一部を誤って挿入した場合、重大な事故が発生するリスクがあります。

特に、プレス機やシャーリング機(せん断機)などは、一瞬にして金属を変形させる能力を持つため、作業者の指や腕などの部位を切断(せん断)、挟圧(押しつぶす)する事故に直結します。

作業環境の性質上、作業者は常に重篤な傷害のリスクにさらされているといえます。

古い設備・安全装置不足が残る現場の実情

事業主は、労働契約法に基づき、労働者が安全かつ健康に働くことができるよう配慮する「安全配慮義務」を負っています。労働安全衛生法は、この義務を果たすために事業主が講じるべき具体的な措置(設備や作業方法に関する措置など)を定めています。

しかしながら、金属加工業の一部現場では、コスト削減や生産性の維持を理由に、古い設備が継続して使用されています。

これらの設備は、最新の安全基準を満たしていないことが考えられるほか、経年劣化により不具合が生じやすい状態にあることも懸念されます。

また、本来自動で機械を停止すべきインターロック機構や、手を入れることを防ぐ安全柵・安全カバーが、作業の利便性を優先して無効化されていたり、適切に点検・整備されていなかったりするケースが散見されます。

事業場におけるリスクアセスメント(危険性や有害性を見積もり対策を講じること)の不実施や不徹底も、管理体制上の問題です。

典型的な事故類型

金属加工業の現場で多発する事故類型は、それぞれが特徴的かつ重篤な傷害をもたらしやすいものです。具体例は以下のとおりです。

プレス機やベンダー機による手指切断事故

プレス加工および曲げ加工(ベンディング)における手指の挟まれ事故は、単なる外傷ではなく、指の全部または一部の切断、あるいは複合組織の挫滅(組織が押しつぶされる深刻な損傷)を引き起こします。

切断に至らなくても、神経や腱の損傷により、指としての機能障害が残ってしまうことが多く、労災保険の障害等級認定において症状に応じた検討が重要です。

切断機・研磨機による巻き込まれ事故

高速回転する切断機や研磨機の可動部に、作業衣や保護具などが接触し、身体が引き込まれる事故は、四肢の広範囲にわたる骨折や裂傷、組織の剥離損傷(皮膚や組織が剥がれる損傷)といった被害を招きます。

また、作業者の体幹部が巻き込まれた場合、生命に直結する重篤な死傷結果を招く可能性があります。

飛来物や重量物によるけが

飛来物(切削屑、破片)は主に研削・切削作業中に発生します。保護具の不着用や破損により、たとえば眼球に直撃し、視力低下や失明に至るケースが想定されます。

また、金属素材などの重量物についてクレーンやフォークリフト等を用いた運搬作業中に、積載物や吊り荷が落下することで、下肢の複雑骨折や、身体の圧迫による内臓損傷、脊椎損傷といった重大な結果を生じる可能性があります。

高温・騒音環境による慢性的な健康被害

金属加工業における溶接作業場や密閉空間での高温作業は、熱中症のリスクを高めます。

さらに、高温となる作業の現場では、じん肺粉塵の発生源である研磨作業や溶接作業において、適切な排気・換気措置が講じられていない場合、肺に線維増殖性変化(肺の組織が硬くなる変化)を来たしたり、呼吸機能障害を引き起こしたりします。

実際に過去の裁判例でも、じん肺に関する重篤な健康被害について争われている事例が多くあります。

また、騒音性難聴といった、長期間にわたり基準値を超える騒音に曝露された結果、回復困難な聴力レベルの低下が発生することもあります。

業務災害と通勤災害の区別

労働災害補償保険法に基づき、労災給付は「業務災害」または「通勤災害」に適用されます。

機械操作・工場作業中の事故は業務災害

業務災害が成立するためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。

業務遂行性とは、労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にある状況で発生したことをいいます。たとえば、休憩時間中であっても、事業場の施設内で発生した災害は、その施設や管理の状況が原因であれば、業務遂行性が認められる可能性があります。

業務起因性とは、その災害が業務に内在する危険性が現実化したものと認められることをいいます。

工場内での機械操作中の事故は、通常、この双方の要件を満たすため、業務災害と認定されます。

通勤途中の交通事故などは通勤災害

通勤災害は、合理的な経路および方法による往復中に発生したものに限られます。

通勤の途中で私的な行為(飲酒や買い物など)のために経路を逸脱・中断した場合、その後の災害は原則として通勤災害とは認められません。

ただし、日用品の購入など、日常生活上必要な行為(厚生労働省令で定めた行為)のために逸脱・中断した場合、合理的な経路に戻った後は再び通勤として認められます。

災害類型による補償の違い

労災保険給付は、業務災害の場合は「〇〇補償給付」、通勤災害の場合は「〇〇給付」と名称が分かれますが、給付内容は基本的に同じです。

最大の違いである休業中の待期期間(労災保険の休業補償給付が支給されない最初の3日間)について、業務災害では会社が平均賃金の60%を補償する義務を負います。通勤災害では60%を補償する義務はありません。

労災保険と補償制度

労災保険の給付は、被災者の療養と生活を支えるための公的な制度です。

けがの場合:治療費・休業補償給付

療養(補償)給付

指定医療機関での治療費は全額保険から支払われます。指定医療機関でなくても、被災者が立て替えた治療費の支払いを請求することができます。

休業(補償)給付

支給額の基礎となる給付基礎日額は、原則として事故発生日または医師の診断確定日の直前3ヶ月間に支払われた賃金総額を暦日数で割った金額です。

この算定を間違えると、その後の給付総額に影響が出るため、正確な賃金記録の確認はもちろん、丁寧に計算を行うことが大切です。

後遺障害が残る場合:障害等級と補償額

症状固定後身体に残った障害は、主治医の診断書に基づき、労働基準監督署によって障害等級(第1級~第14級)が認定される場合があります。

第1級~第7級の場合

障害(補償)年金および障害特別支給金、障害特別年金が支給されます。

第8級~第14級の場合

障害(補償)一時金および障害特別支給金、障害特別一時金が支給されます。

金属加工業で多発する手指の機能障害や難聴は、特に7級から14級の範囲で認定されることが多く、適正な等級認定を得るためには、医学的な知見が重要です。

死亡災害の場合:遺族補償給付

遺族(補償)年金は、死亡労働者の収入によって生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順で、受給資格者が決定されます。

年金または一時金として支給され、受給資格者の順位や人数によって給付額が変動します。

弁護士がサポートできること

労災事故における弁護士の役割は、単に手続きを代理することのみならず、医学的な知見と法的な知見に照らしながら適切に労災事故を解決することにあります。

具体的には以下のような部分で、弁護士が労災事故の被災者に対するサポートが可能です。

労災申請のサポート

労災保険の申請手続きを代理することで、被災者の精神的・肉体的負担を軽減します。

通常、被災者の方は医学的知見や法律上の手続の進め方などについて、詳しくないことがほとんどです。

労災事故に詳しい弁護士に相談・依頼することで、適切な解決につながりやすくなります。

会社の安全配慮義務違反の立証

労災保険給付はあくまで最低限の補償であり、慰謝料をはじめ労災保険の算定基準を超える損害はカバーされません。これらの損害を会社に請求するためには、損害賠償請求を行う必要があります。

弁護士は、請求の根拠となる会社の安全配慮義務違反を立証するため、会社が労働者の被災を防止する措置を適切に講じていたのか、社内のマニュアルの整備状況、体制などについて詳細に分析します。

会社に対する損害賠償請求については、基本的に会社の安全配慮義務違反を被災者側で立証しなければならないため、被災者個人が独力で会社と交渉したり訴訟手続を進めたりすることは困難です。

裁判例を踏まえた損害賠償請求

会社に対する民事上の損害賠償請求では、以下の項目を中心に算定します。

傷害慰謝料・後遺障害慰謝料

精神的苦痛に対する賠償です。過去の事例に基づき、入通院日数や期間、認定された障害等級に応じて算定します。

逸失利益

労災事故による労働能力の喪失によって将来得られなくなった収入のことを指します。労災保険で受領した金額がある場合は、金額を差し引いた差額を請求します。

付添費用・将来の介護費用

重度障害の場合、その必要性に応じて請求します。

弁護士は、これらの請求項目について、過去の裁判例などに照らして適正な額を算定し、会社側との交渉を代理します。

交渉で折り合わなかった場合には、裁判所に訴訟提起するなどして、適正な賠償金の獲得を目指します。

当事務所のサポート内容

よつば総合法律事務所では、労災事故の一般論にとどまらず、業種や職種によって異なる事案の特殊性に着目して、進め方を検討します。

会社との間に入るだけの単なる手続代理にとどまらず、事案に即して1件1件詳しくて親切な対応を心掛けております。

また、事務所の専門チームで培った後遺障害認定に関する知見がありますので、医学的な目線からも適切な進行ができるように努めてまいります。

被災された方々が、経済的な不安なく療養に専念し、後の生活を再建できるよう、法的側面からサポートさせていただきます。

労災事故に関するご相談は、まずはよつば総合法律事務所にご相談ください。