労災事故で後遺障害6級に認定された場合、労働者災害補償保険(労災保険)から次の3種類の給付を受け取れます。
- 障害補償等年金(給付基礎日額の156日分)
- 障害特別支給金(6級の場合は192万円)
- 障害特別年金(算定基礎日額の156日分)
ただ、労災保険からの給付は、あくまでも公的な補償であり、被災者が受けた精神的苦痛に対する慰謝料や、将来の収入減(逸失利益)の全額は含まれていません。
会社に安全配慮義務違反などの法的な責任がある場合、労災保険とは別に会社に対して民事上の損害賠償を請求して、追加の賠償金を受け取れます。
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後遺障害6級の労災保険からの支給
労災事故による治療を続けた結果、これ以上の改善が見込めない「治癒」(症状固定)と判断され、体に重い後遺症が残った場合、労働基準監督署長に対して後遺障害の申請を行います。
その結果、後遺障害6級に認定されると、1級から7級の重い障害に該当するため、一時金ではなく原則として「年金」が支給されます。
障害補償等年金
後遺障害6級の場合、給付基礎日額の156日分が、生涯にわたって毎年支給されます。
給付基礎日額とは、原則として、事故が発生した日の直前3か月間に支払われた賃金総額を、その期間の暦日数で割った1日あたりの金額です。
障害特別支給金
後遺障害6級の場合、給付基礎日額に関係なく、一律で192万円が支給されます。
これは年金ではなく、認定時に一度だけ支払われる一時金です。
障害特別年金
ボーナスなどの実績に基づき計算される「算定基礎日額」の156日分が、毎年年金として支給されます。
算定基礎日額は、原則として事故発生日以前1年間に支払われた特別給与(ボーナスなど)の総額を365日で割った金額です。

労災保険からの実際の支給額の具体例
労災保険からの年金額は、給付基礎日額と算定基礎日額によって決まります。
たとえば、給付基礎日額が15,000円、算定基礎日額が3,500円の場合には次のとおりです。
| 給付の種類 | 金額 |
|---|---|
| 障害補償等年金 | 年間2,340,000円(15,000円×156日) |
| 障害特別年金 | 年間546,000円(3,500円×156日) |
| 年金合計(年額) | 年間2,886,000円(6回に分けて振込) |
| 障害特別支給金 | 1,920,000円(初回のみの一時金) |
労災保険以外に請求できる金額
労災事故の原因が会社側の安全配慮義務違反などにある場合、被害者は労災保険からの給付とは別に、会社に対して民事上の損害賠償を請求できます。
入院や通院の慰謝料
入通院期間に応じた精神的苦痛に対する賠償金です。労災保険から慰謝料は一切支払われないため、裁判基準(弁護士が交渉や訴訟で用いる基準)で請求しましょう。
たとえば、5か月入院、7か月通院した場合、裁判基準(別表Ⅰ)では266万円が相場です。
後遺障害の慰謝料
後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する賠償金です。
後遺障害6級の場合、裁判所の基準は1,180万円が相場です。
逸失利益
逸失利益とは、後遺障害により将来の労働能力が失われ、収入が減る損害に対する賠償です。
6級の労働能力喪失率は原則67%であり、賠償額も数千万円規模になることが多いです。
その他の損害
労災保険の休業補償給付では全額受領できなかった休業損害などを、会社に請求できます。
会社からの実際の支給額の具体例
① 片足の2関節の用を廃したケース
年収550万円で40歳の会社員が、業務中の墜落事故で右足の膝と足首に重傷を負い、両関節とも可動域が4分の1以下に制限される後遺障害6級に認定された場合(6か月入院・6か月通院)の内訳です。
| 内訳 | 金額 |
|---|---|
| 入通院慰謝料 | 2,820,000円(裁判基準・別表Ⅰ) |
| 後遺障害慰謝料 | 11,800,000円(6級の裁判基準) |
| 逸失利益 | 67,535,025円(550万円×67%×18.327(27年分)) |
| 合計 | 82,155,025円 |
- 労災保険から既に受領している障害補償等年金などのうち、損害項目が重なるものは一部差し引いて請求します。
- 逸失利益の計算に用いる「18.327」は、27年(40歳から67歳まで)に対応するライプニッツ係数です。
② 脊柱に著しい変形を残すもの(圧迫骨折など)のケース
年収450万円で50歳の会社員が、業務中の転落事故で脊椎(胸椎や腰椎)を圧迫骨折し、ボルト固定術等を受けたものの、著しい脊柱の変形が残り後遺障害6級5号に認定された場合(2か月入院・10か月通院)の内訳です。
| 内訳 | 金額 |
|---|---|
| 入通院慰謝料 | 2,030,000円(裁判基準・別表Ⅰ) |
| 後遺障害慰謝料 | 11,800,000円(6級の裁判基準) |
| 逸失利益 | 39,695,791円(450万円 × 67% × 13.1661(17年分)) |
| 合計 | 53,525,791円 |
- 脊柱の著しい変形とは、X線写真等で、脊椎圧迫骨折などにより椎体の高さが減少し、前方または側方に著しく折れ曲がっていることが医学的に確認できる状態などを指します。
- 労災保険から既に受領している障害補償等年金などのうち、損害項目が重なるものは一部差し引いて請求します。
- 逸失利益の計算に用いる「13.1661」は、17年(50歳から67歳まで)に対応するライプニッツ係数です。

よくあるご質問
治療中ですが、いつ後遺障害申請をすればよい?
これ以上治療を続けても症状の改善が見込めない「症状固定」の状態になってから行います。
6級に該当するような重傷の場合、事故から1年〜1年6か月以上経過したタイミングがひとつの目安となります。
労災保険から慰謝料は支払われる?
労災保険から慰謝料は支払われません。会社に法的な責任がある場合に限り、会社に損害賠償請求して獲得できます。
給付基礎日額とは?
原則として、事由発生日の直前の賃金締切日の直前3か月間に支払われた賃金の総額(ボーナスなどを除く)を、その期間の暦日数で割った1暦日当たりの賃金額のことです。
算定基礎日額とは?
原則として、事由発生日以前1年間に事業主から受けた特別給与(ボーナスなど)の総額を365で割って得た額です。
年金はいつからいつまでもらえる?
症状固定日の翌月から、受給権が消滅する(亡くなる、または障害状態が軽減する)まで生涯支給されます。
一度もらえた年金がもらえなくなることはある?
定期的な診断の結果、障害の程度が軽くなり、7級以下(一時金の対象)に該当すると判断された場合は、年金が停止し一時金へ切り替わることがあります。
仕事に復帰すると年金はもらえなくなる?
いいえ。年金は「失われた労働能力」に対して支払われるものなので、仕事に復帰して給料を得ていても、障害等級が維持されている限り支給され続けます。
年金ではなく一時金としてもらえる?
6級の場合、例外的に「障害年金前払一時金」という制度を利用できます。
6級で選択できる前払一時金の額は、給付基礎日額の200日分、400日分、600日分または670日分の範囲で選択でき、前払いとして一括で受け取ることが可能です。
ただし、前払いを受けた分、その後の年金支給は一定期間停止されます。
年金受給中に亡くなった場合、遺族への補償は?
受給者が亡くなった時点で、それまでに受け取った年金と前払一時金の合計額が、障害補償一時金(6級の場合は670日分)の額に満たない場合、その差額が遺族に「障害補償年金差額一時金」及び「障害特別年金差額一時金」として支給されます。
脊柱の変形障害で、6級、8級、11級の違いは?
脊柱の変形の程度によります。
著しい変形(椎体の高さが減少するなど)がある場合は6級、中程度の変形は8級、単なる変形は11級といった形で、医学的な所見の重さによって区分されます。
まとめ:まずは弁護士に相談
後遺障害6級は労働能力の約3分の2を喪失したとみなされる重い等級であり、生涯にわたる補償額は一般的に高額になります。会社側の責任の有無や、適正な賠償額の算定には専門的な知識が必要です。
よつば総合法律事務所では、労働災害に関する豊富な経験を持つ弁護士が、適正な補償を受けられるよう全力でサポートいたします。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。