仕事中に腕を骨折しました。とるべき対応と受け取れる補償はどのようなものですか?

仕事中に腕を骨折してしまった場合、原則として労災の対象となります。

労災認定がされた場合、労災保険から治療費や休業補償の給付を受けましょう。

治療を続けても腕の骨折が完治せず、痛み・しびれ、可動域制限が残ってしまった場合、後遺障害の申請を検討しましょう。後遺障害が認定された場合、障害(補償)給付を受け取れます。

事故の原因が会社の安全配慮義務違反である場合、会社に対して慰謝料などの損害賠償請求を検討しましょう。

労災でお困りの方へ

弁護士による無料相談受付中

弁護士による無料相談受付中

メールで相談

無料相談申し込み

24時間365日受付

電話で相談

0120-916-746

受付時間 平日・土日祝日/6:00〜22:00

※本予約ダイヤルでの電話相談は行っておりません。

腕の骨折が発生しやすいケース

仕事中に腕を骨折してしまう事故は、多くの製造現場や建設現場、運送の現場で発生する可能性がある事故です。たとえば、次のようなケースがあります。

① 転倒・転落
高所作業や階段、床の段差で転倒した際、手をついて腕を骨折するケースがあります。
② 機械への巻き込まれ
工場や建築現場で、稼働中の機械に腕が巻き込まれ、重症の骨折を負うケースがあります。
③ 飛来物・落下物
落ちてきた資材を避けきれず、あるいは腕で防ごうとして直撃を受けるケースがあります。
④ 交通事故
外回りの仕事中に交通事故に遭い、腕を骨折するケースがあります。

腕の骨折の典型的な病名

腕の骨折と一言で言っても、その場所や状態はさまざまです。典型的な病名は次のようなものです。

  • 上腕骨近位端骨折
  • 上腕骨骨幹部骨折
  • 上腕骨遠位端骨折
  • 肘頭骨折
  • 橈骨頭骨折
  • 尺骨鉤状突起骨折
  • 橈骨茎状突起骨折(ショーファー骨折)
  • 尺骨茎状突起骨折
  • 橈骨骨幹部骨折
  • 尺骨骨幹部骨折
  • 橈骨遠位端骨折
  • 尺骨遠位端骨折

腕の骨折による後遺障害

適切な治療を行っても、残念ながら後遺症が残ってしまう場合があります。労災保険では、残ってしまった腕の骨折の後遺症の程度に応じて、1級から14級の後遺障害が定められています。

腕の骨折が完治せず、後遺障害が残ってしまった場合には、大きく分けて、機能障害、神経障害、変形障害の3つの可能性があります。

機能障害

腕の機能障害とは、肩の関節・肘の関節・手の関節について以前のように動かなくなってしまった状態(可動域制限)を指す後遺障害です。腕の機能障害には、次の後遺障害が定められています。

等級 障害の程度
1級7号 両上肢の用を全廃したもの
5級4号 1上肢の用を全廃したもの
6級5号 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
8級6号 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
10級9号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
12級6号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

神経障害

腕の神経障害とは、痛みやしびれの症状が残ってしまった後遺障害です。腕の神経障害には、次の後遺障害が定められています。

等級 障害の程度
12級12号 局部にがん固な神経症状を残すもの
14級9号 局部に神経症状を残すもの

変形障害

腕の変形障害とは、骨が本来の形とは異なる形で癒合してしまった状態です。腕の変形障害には、次の後遺障害が定められています。

等級 障害の程度
7級9号 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
8級8号 1上肢に偽関節を残すもの
12級8号 長管骨に変形を残すもの

労災保険への請求

仕事中に腕を骨折した場合、原則として労災保険の給付対象となります。労災と認定されれば、次の給付を受けることができます。

① 療養(補償)給付
病院の治療費や薬代などが補償されます。
② 休業(補償)給付
労働災害で仕事を休業している間は、通常会社から給料は支払われません。そこで、労災保険の休業(補償)給付を受けることになります。
③ 障害(補償)給付
後遺障害が残ってしまった場合、後遺障害の程度に応じて障害(補償)給付を受けることができます。

会社への請求

腕の骨折が会社の安全配慮義務違反(落ち度)などによって発生した場合、労災保険給付とは別に、会社に損害賠償を請求できる可能性があります。

会社に対する損害賠償請求を行うには、事故状況を調査して安全配慮義務違反などを主張立証する必要があります。

労災保険に請求する具体例

労災保険からどのような給付が受けられるか、具体的な数字で見ていきましょう。

事故状況:転倒事故により腕を骨折し、痛みが残ってしまった
年収:500万円(月収40万円×12月、賞与20万円)
治療期間:6ヶ月
休業日数:30日
後遺障害:腕の痛み(後遺障害等級14級9号)

① 療養(補償)給付

治療費は労災保険から支払われるため、自己負担は0円です。

② 休業(補償)給付

仕事を休んだ30日間について、特別支給金も含め平均賃金の80%が支給されます。

40万円×3月÷92日(※直近3カ月の日数)×30日×80%=約32万円

※労災保険では3日間の待機期間(給付がない期間)がありますが、本記事では便宜上省略して計算しています。

③ 障害(補償)給付

障害補償等一時金

14級の場合、給付基礎日額の56日分の一時金が支給されます。

約480万円÷365日×56日=約74万円

障害特別支給金

14級の場合、一律で11万円が支給されます。

障害特別一時金

14級の場合、算定基礎日額の56日分が支給されます。

約20万円÷365日×56日=約3万円

その結果、約120万円を受領することとなります。

労災保険と会社の両方に請求する具体例

労災保険から給付を受けつつ、会社に賠償を請求する場合について、具体的な数字で見ていきましょう。

事故状況:会社の極めてずさんな安全管理により、一切過失の無い労働者の肘がほとんど動かなくなった
年収:500万円(月収40万円×12月、賞与20万円)
治療期間:1年(365日、入院6カ月・通院6カ月)
休業期間:1年(365日)
後遺障害:肘関節の機能障害(用廃)(後遺障害等級8級6号)

① 療養(補償)給付

治療費は労災保険から支払われるため、自己負担は0円です。

② 休業(補償)給付

仕事を休んだ365日間について、特別支給金も含め平均賃金の80%が支給されます。

40万円×3月÷92日(※直近3カ月の日数)×365日×80%=約380万円

③ 障害(補償)給付

障害補償等一時金

8級の場合、給付基礎日額の503日分の一時金が支給されます。

480万円÷365日×503日=約661万円

障害特別支給金

8級の場合、一律で65万円が支給されます。

障害特別一時金

8級の場合、算定基礎日額の503日分が支給されます。

20万円÷365日×503日=約28万円

その結果、労災保険から約1134万円を受領することとなります。

また、会社の安全配慮義務が認められ、被災労働者に過失が一切認められなかった場合、次の金額を会社から追加で受領できる可能性があります。

④ 入通院慰謝料

裁判所の基準で約282万円です。

⑤ 後遺障害慰謝料

8級の場合の裁判所の基準で約830万円です。

⑥ 休業損害

休業損害全体(100%)のうち、労災保険の本体給付(60%)で補償されない残りの40%相当額を会社に請求します。概ね次の計算です。

40万円×3月÷92日(※直近3カ月の日数)×365日×40%=約190万円

※労災から支給される特別支給金(20%)は損害賠償額から差し引かれないため、被害者は実質的に手取りが増えることになります。

⑦ 逸失利益

将来に対する減収の賠償です。後遺障害8級の労働能力喪失は45%です。

30 歳で被災して治療終了となった場合、期間は67歳までの37年間となります。

500万円×45%×22.1672(37年のライプニッツ係数)=約4987万円

なお、労災の障害補償等一時金約661万円を差し引くと、約4326万円となります。その結果、会社から約5628万円の賠償を受領することとなります。

よくあるご質問

腕を骨折しました。事故後早期にすべき点は?

速やかに病院を受診し、治療を受けてください。継続的に診察を受け、リハビリに通院するようにしましょう。

治療が最優先ですが、治療以外の点として、事故状況の確認・記録を行うようにしましょう。現場写真の確保、目撃者の確認、当日の作業状況等のメモなどがポイントです。

腕が曲がりません。後遺障害の認定のポイントは?

腕が曲がらないという可動域制限が、客観的な数値で示される必要があります。医師に正確に計測してもらい、後遺障害診断書に記載してもらうことが不可欠です。

また、可動域制限を裏付ける医学的所見があることも必要となります。

腕に痛みやしびれがあります。後遺障害の認定のポイントは?

腕の痛みやしびれを裏付ける医学的所見が重要です。

検査画像についてはレントゲンだけでなくMRI検査で神経の圧迫が確認できるか、神経学的検査の結果が認められるかなどがポイントとなります。

プレートやボルトが入ったままです。症状固定になりますか?

プレートやボルトが入ったままでも、これ以上の症状の改善が認められないと医師が判断した場合は症状固定となります。プレートやボルトが入ったままで症状固定となるケースも経験上多いです。

プレートやボルトが入ったままです。後遺障害になりますか?

プレートやボルトが入ったままであることが、直ちに後遺障害に結び付くわけではありません。

プレートやボルトにより痛みやしびれ(神経障害)がある、関節の動きが制限される(機能障害)場合は、後遺障害として認められる可能性が高いです。

プレートやボルトを抜く再手術が必要です。費用の請求はできますか?

症状固定前にプレートやボルトを抜く再手術を行うのであれば、労災保険からの治療費で対応されることが通常です。

症状固定後にプレートやボルトを抜く再手術を行うのであれば、労災保険から支出される治療費について、症状固定後は原則自己負担となることが多いです。

もっとも、労災保険などに追加で費用請求ができることもありますので、専門家へのご相談をおすすめします。

まとめ:まずは弁護士に相談

仕事中に腕を骨折し、万が一にも後遺障害が残ってしまった場合、その後の生活や仕事に大きな影響があります。労災保険の申請や後遺障害の認定、その後の会社への損害賠償請求を個人で行うのは非常に困難です。

まずはお気軽に弁護士にご相談ください。数多くの労災事故を取り扱ってきた弁護士が、事案に応じて納得のいく解決を目指します。