フォークリフト事故にあった場合、まずは適切な治療と労災申請を行い、必要に応じて会社への損害賠償請求も検討することが重要です。
労災保険からの補償に加え、会社に安全配慮義務違反があれば慰謝料などの損害賠償を受け取れる可能性があります。
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フォークリフトの事故の現状
物流倉庫や製造現場において、フォークリフトは欠かせない存在です。しかし、その利便性の反面、ひとたび事故が起きれば重大な労働災害(労災)に直結しやすいという側面を持っています。
厚生労働省の統計によると、労働災害のうち「交通労働災害」や「荷役作業中の事故」においてフォークリフトが関与する割合は高く、毎年2000件前後の死傷事故が発生しています。フォークリフト事故がこれほどまでに重傷化しやすい背景には、乗用車とは全く異なる独自の物理的・構造的特性があります。
① 強大な自重
まず、特筆すべきはその「強大な自重」です。 一般的な小型フォークリフトであっても、自重は約2~3トンに及びます。これは普通乗用車の約2倍から3倍に相当する重さです。さらに荷物を積載していれば、その総重量は5トンを超えることも珍しくありません。
これほどの重量物が、たとえ時速数キロ程度の低速走行であっても人体に衝突すれば、その衝撃エネルギーは計り知れず、骨折や内臓損傷、あるいは即死に至るケースもあります。
② 視界の死角
次に「視界の死角」です。 フォークリフトは構造上、前面にマスト(昇降装置)があり、荷物を高く積み上げている状態では前方の視界が著しく制限されます。また、後退時にも車体の構造や積載物によって広大な死角が生じます。
この視認性の低さが、歩行中の作業員を見落とし、衝突や轢過を招く要因となっています。
③ 後輪操舵
最後に「後輪操舵」という独特の挙動です。一般的な自動車は前輪で舵を取りますが、フォークリフトは後輪で舵を取ります。
そのため、旋回時には車体の後部が外側に大きく振れるという特性があります。この挙動を十分に理解していない周囲の作業員が、旋回する車体に巻き込まれる事故が頻発しています。

フォークリフトでよくある事故
フォークリフト事故には、現場の状況や作業内容に応じた一定の発生パターンが存在します。どのような状況で事故が起きたのかを正確に把握することは、後に会社の責任(安全配慮義務違反)を追及する際の極めて重要な基礎となります。
挟まれ・巻き込まれ
フォークリフトと壁の間、あるいはフォークリフトと他の車両の間に体が挟まれる事故です。重度の骨折や圧砕傷などの重大な傷害につながります。
墜落・転落
フォークリフトのフォークや、その上に載せたパレットに人が乗って高所作業を行い、そこから転落する事故などです。本来、フォークリフトは人を昇降させるための機械ではありません。このような「本来の用途外の使用」による事故は、会社の安全管理体制が厳しく問われる典型例です。
衝突
走行中のフォークリフトが歩行中の労働者に衝突する事故です。積載物で前方が見えない状態での走行や、スピードの出し過ぎ、作業通路の分離が不十分な現場で発生します。
事故に遭ったときに知るべき2つの金銭的補償
フォークリフト事故の被災者が受け取れる金銭には、大きく分けて「労災保険」と「損害賠償」の2種類があります。両方のルートを検討することが重要です。
国が生活を支える「労災保険」
労災保険は、勤務中や通勤中の事故に対して国(労働基準監督署)が給付を行う制度です。会社に過失(落ち度)があるかどうかに関わらず、仕事中の事故であれば速やかに給付が受けられる点が最大のメリットです。
会社の過失を証明する必要がなく、手続きが比較的スムーズですが、精神的苦痛に対する「慰謝料」は支給されません。また、休業補償も給与のおおむね8割程度(特別支給金含む)にとどまります。
会社に請求する「損害賠償」
労災保険だけでは、被害者の損害が全て埋まるわけではありません。会社側に落ち度(過失)がある場合、不足分を直接会社に請求できます。主な請求項目は次のとおりです。
労災保険を受け取るための2つの必須条件
労災保険を申請しても、全ての事故が認定されるわけではありません。次の2つの条件を満たしている必要があります。
条件①:仕事中に起きた災害か(業務遂行性)
「労働者が雇主の支配下にある状態で発生した事故か」という点です。作業中はもちろん、休憩時間中であっても施設の管理状況が原因で事故が起きた場合は認められる可能性があります。
条件②:仕事が原因で起きた災害か(業務起因性)
「仕事とけが・病気の間に因果関係があるか」という点です。たとえば、フォークリフトの操作ミスでけがをした場合や整備不良による事故の場合は明確です。
他方、「持病の腰痛がたまたまフォークリフトに乗っているときに悪化した」というようなケースでは、仕事が原因で起きた災害というためのハードルは高いでしょう。
後遺症が残る場合の対応
治療を続けても症状が残った場合、後遺障害等級認定の手続きへ進みます。
後遺障害の等級認定
後遺障害は、その重さに応じて1級(最も重い)から14級まで分類されます。
フォークリフト事故で多い認定例は次のようなものです。
- 骨折後の関節の動きが悪くなった(機能障害)。
- 手足を切断・喪失した(欠損障害)。
- 神経へのダメージによる痛みやしびれがある(神経症状)。
認定には「後遺障害診断書」の内容が重要です。また、弁護士のアドバイスのもと、必要な検査結果(MRI、レントゲン、神経学的検査など)が網羅されているか確認することも重要です。
後遺障害の等級が認定された場合の労災からの補償
等級が認定された場合は、労災保険から「障害補償給付」が受けられます。
1級〜7級は、症状が残っている期間中、定期的に(年6回に分けて)障害補償年金がもらえます。8級〜14級は、一回限りの障害補償一時金がもらえます。

会社に損害賠償を請求できる場合とできない場合
労災保険とは別に、会社から「慰謝料」などを受け取れるかどうかは、会社の過失(責任)の有無にかかっています。
会社の責任を問う法的根拠:「安全配慮義務違反」とは?
会社は労働契約に伴い、労働者の生命・身体を危険から保護するよう配慮する義務を負っています(労働契約法5条)。
フォークリフト事故において、会社が次のような義務を怠っていたときには、安全配慮義務違反が認められる可能性が高まります。
会社へ請求できる場合
たとえば、「積載物で前が見えない状態で走行することが常態化しており、会社もそれを黙認していた」状況で歩行者に衝突した場合などは、会社の過失が認められる確率が高いでしょう。
会社へ請求できない場合
労働者が、会社が用意した厳重な安全対策を無視し、個人的な悪ふざけや極めて重大な過失によって自ら事故を引き起こした場合などは、会社の責任が否定されることがあります。
ただし、「労働者にもミスがあった」からといって、会社への請求を諦める必要はありません。労働者に多少のミスがあっても、それを見越した安全対策を講じていない会社側に主たる責任を認めているケースもあります。
労働者側に「不注意」があったとしても、それが直ちに「請求不可」を意味するわけではありません。
まとめ:まずは弁護士に相談
自ら会社と交渉したり、複雑な労災申請を行ったりすることは精神的・体力的に非常に困難です。弁護士に相談・依頼するメリットは次のとおりです。
よつば総合法律事務所では、労災問題に精通した弁護士が、皆様に寄り添い、最善の解決を目指します。
① 初回無料相談
今後の見通しやリスクについて、専門的な視点からアドバイスいたします。
② 労災申請のサポート
労働基準監督署への申請書類作成や、裏付け資料の整理をサポートします。
③ 会社との交渉・訴訟
示談交渉から裁判まで、一貫して代理人として戦います。
フォークリフトの労災事故は、これまで記載した通り、複雑な要因が絡み合うことが多い事案です。
「会社にはお世話になっているから」「自分の不注意もあったから」と遠慮し、適切な補償を受け取らないことは、あなた自身の、そしてご家族の将来を危険にさらすことになりかねません。会社側が提示する「見舞金」や、労災保険の「休業補償」だけで終わりにしてしまう前に、専門家である弁護士のアドバイスを受けてください。
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