落下物・崩落物に当たった労災事故の注意点

建設現場や倉庫、高所での作業を行う職場では、落下物や崩落物が下にいた人に当たる事故が発生し、重大な労働災害につながることがあります。

このような事故では、頭部の外傷、背骨の損傷、骨折などの重いけがを負うことが多く、重篤な後遺症が残ったり、最悪の場合は命に関わることもあります。

しかし、けがをした従業員が、自分の注意不足が原因だと考える方が多いのが現状です。

実際には、労働契約法上、会社には労働者を危険から保護し、労働者の安全と健康を確保するよう配慮する義務(安全配慮義務)が課されています。また、労働安全衛生法及び規則には、従業員の安全と健康を確保するための環境整備として、多岐にわたる具体的な措置が規定されています。

一見、「被災者のミス」と思えるような事故の裏にも、会社側の安全管理が足りていなかったことが原因となっていることも少なくありません。

また、労働災害として認定されても、労災保険からの補償だけでは十分ではありません。慰謝料や収入の補償などは、労災保険では全額カバーされないからです。そのため、適切な補償を受けるには、会社に対して損害賠償を請求することを検討することがとても大切です。

落下物・崩落物に当たった労災事故の典型例

① 足場の崩落事故
高所で作業中に足場が崩れ落ち、下で作業していた従業員が巻き込まれるケースです。足場の老朽化や点検不備が原因となっていることが多くあります。
② クレーンからの落下物事故
資材の搬入中にクレーンから荷物が落下し、作業員に直撃するケースです。他の作業員の操作ミスや荷物の固定が不十分だったことが原因となります。
③ 解体作業中の崩壊事故
建物の解体中に壁や天井が予期せず崩れ、破片が作業員に当たるケースです。事前の危険予測や対策が不十分だったことが原因です。
④ 倉庫での荷崩れ事故
倉庫内で積み重ねた荷物が倒れ、作業員が下敷きになるケースです。荷物の積み方や保管方法に問題があったことが原因となります。

これらの事故は、作業員の注意不足だけでなく、会社側の安全管理に問題があることが少なくありません。

事故発生の主な原因

落下物や崩落物による事故の多くは、会社側の安全対策が不十分だったことが原因となっています。たとえば、次のような原因です。

① 危険区域の管理不備
危険な作業を行っているエリアと他の作業員が通る場所がきちんと分けられていなかったり、立入禁止の表示が不十分だったりするケースがあります。
② 落下防止対策の不備
高所作業での安全ネットや手すりの設置、落下物用の保護具の提供、資材をしっかり固定することなど、基本的な安全対策が怠られているケースがあります。
③ 機械・設備の点検不足
クレーンやフォークリフト、足場などの定期点検や整備を怠った結果、故障や不具合が発生して事故につながるケースがあります。
④ 安全教育の不足
作業員への危険予知訓練や安全な作業手順の教育が不十分で、危険を避けるための知識や意識が不足しているケースがあります。
⑤ 危険な作業方法の放置
会社が危険な作業方法を知りながら改善を怠ったり、適切な作業指示を行わなかったりするケースがあります。

これらは、会社に法律で求められている安全配慮義務に違反する行為です。従業員の安全を守り、事故を防ぐための安全管理と継続的な教育は会社の義務です。

しかし、会社に損害賠償を請求しても、会社側からは、「会社はきちんと安全講習を行っていた」とか「事故が発生したのは被災者のミスなのだから会社に責任はない」などといって賠償に応じてもらえないことが少なくありません。

会社に責任を認めさせるには、事故状況を分析したうえで原因を明らかにし、会社がとるべきであった安全配慮義務の内容を具体的に特定し、法的な根拠に基づいて請求することが重要です。

主なけがや後遺障害

高い位置から落下物や崩落物が落下してきた場合、その衝撃は非常に大きく、重いけがが発生することが少なくありません。たとえば、次のようなけがが想定されます。

  • 頭蓋骨骨折、脳の損傷、高次脳機能障害
  • 背骨や脊髄の損傷
  • 内臓の損傷、骨盤骨折
  • 手足の切断、指の欠損

こうした重いけがは、治療後も身体的・精神的な機能に障害(後遺症)が残ることも少なくありません。後遺症の程度によって決まる「後遺障害等級」は、労災保険からの給付額や、会社への損害賠償請求における慰謝料などの金額に大きく影響します。

後遺障害等級の認定では、医師が作成する後遺障害診断書の内容が非常に重要になります。専門的な知識が必要になるため、弁護士と連携して適切な診断書を作成することが大切です。

事故後早めの検討・準備が望ましい事項

労災事故にあった場合、労災保険だけでは本来受け取るべき損害の全てをカバーできません。特に、精神的な苦痛に対する慰謝料や、事故によって将来失われる収入の補償については、労災保険だけでは十分ではありません。

そのため、適切な補償を受けるには、会社に対して損害賠償を請求することが重要になります。ただし、損害賠償請求は「証拠」があるかどうかで結果が大きく変わるため、事故後は次の準備を早めに行いましょう。

  • 現場の写真や動画、目撃者の証言の確保
  • 事故報告書や安全マニュアルのコピーの取得
  • 診断書や通院記録の整理
  • 労災保険給付の申請手続き
  • 会社の安全管理体制の調査

会社への損害賠償請求を行うためには、証拠をきちんと確保しておくことが重要です。しかし、時間が経つと重要な証拠が失われたり、関係者の記憶があいまいになったりして、証拠集めが困難になることがあります。

後々の証拠不足のために適切な補償を受け取れない、といった事態を防ぐためには、事故の直後から弁護士に相談いただき、「今のうちに確保しておくべき資料」を把握することが大切です。

よくあるご質問

他の従業員の過失が事故原因であっても、会社に損害賠償請求できますか?

他の従業員の過失が事故の原因である場合も、会社に損害の賠償を請求することができます。

会社は、自社の従業員が他人に損害を発生させた場合には、その従業員と連帯して被害者に対して損害賠償の責任を負うこととなっています。この法理は使用者責任と呼ばれています。そして、この「他人」には、他の従業員も含まれます。

したがって、事故の原因が他の従業員の過失にある場合には、会社は当該従業員の使用者として、被害に遭った従業員の損害を賠償する責任を負うこととなっています。

自分に過失があっても、会社に損害賠償請求できますか?

けがをした従業員に過失があっても、労災保険から給付を受けることは可能です。

また、自分に過失があれば損害賠償額が減額される可能性はありますが、会社にも安全配慮義務違反があれば会社への損害賠償請求が認められる可能性はあります。

過失の程度については、弁護士に相談して状況を整理することをお勧めします。

まずは弁護士に無料相談

事故後の対応、証拠の保全、労災申請、後遺障害認定、損害賠償請求には、複雑な法的手続きが必要になります。

よつば総合法律事務所は、こうした手続きをサポートし、被災者の方の負担を軽減しながら、適正な賠償額の獲得を目指します。無料相談を受け付けておりますので、事故後の不安を一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。

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