労働災害の発生から解決までの流れ

労働災害とは、労働者が業務上の事由または通勤中の事故によって被った負傷、疾病などです。労働災害の発生から解決に至るまでの流れを説明します。

1. 労働災害の発生

労働災害が発生した場合、まずは身の安全を確保しましょう。

2. 治療の開始

労働災害によってけがをした場合、速やかに病院に行って治療を開始しましょう。

3. 会社への報告

事故の発生日時・場所・状況などを、速やかに会社に報告しましょう。

4. 労災保険の申請

必要な書類を準備し、労働基準監督署へ労災保険の申請を行います。

5. 労災認定・保険給付の開始

労働災害と認定されると、治療費(療養補償給付)や休業損害(休業補償給付)などが支給されます。

6. 治療終了・症状固定

医師の指示に従って、治療を継続しましょう。治療は、症状が治癒して治療が終了するまで、あるいはこれ以上治療を続けても症状の改善が見込めないと医師が判断して症状固定となるまで行うことが多いです。

7. 後遺障害の申請

後遺症が残ってしまった場合、医師に後遺障害診断書を作成してもらいます。必要書類を労働基準監督署に提出し、後遺障害の等級認定を申請します。

8. 会社への損害賠償請求

会社に安全配慮義務違反などがあった場合、労災保険ではカバーできない慰謝料などの損害について会社に損害賠償を請求します。

労災事故直後の対応の注意点

労働災害発生直後の対応は、受けられる補償に大きく影響することがあります。特に、次の点に注意しましょう。

救急搬送や通院

労働災害によってけがをした場合、速やかに病院に行って治療を開始しましょう。

たとえ事故の規模が小さかったり、自覚症状が軽かったりしても、病院で診察を受けましょう。

事故直後は興奮状態のため、痛みを感じないこともあります。しかし、後から痛くなるケースも少なくありません。

労災指定病院に通院すれば、労災保険から病院に直接治療費が支払われます。窓口で治療費を立て替える必要がないため、手続きが簡単で経済的な負担も軽減されます。

通院する病院が労災指定病院でない場合でも、いったん窓口で立替払いを行い、事後的に請求することが可能です。

会社への報告

労働災害が発生したことは、速やかに会社の担当部署に報告しましょう。報告する際には、労働災害が発生した状況を具体的かつ正確に伝えることが重要です。

報告が遅くなると、労働災害の発生を証明することが難しくなることがあります。

証拠の確保

労災申請や会社への損害賠償請求のためには、労働災害発生直後の証拠を確保しておくことが重要です。時間が経つと証拠が失われる可能性があるため、事故後できる限り早い段階で証拠を確保することが大切です。

たとえば、確保しておく証拠としては次のようなものがあります。

  1. 労働災害が発生した現場の写真や動画
  2. 労働災害の原因となった機械の写真
  3. 労働災害の加害者や目撃者の氏名・連絡先
  4. ドライブレコーダーや防犯カメラの映像
  5. 労働災害発生直後のけがの状況を写した写真

労災申請に必要な書類の準備

労災保険の給付を受けるためには、被災した労働者自身が労働基準監督署に申請手続きを行う必要があります。ただし、会社が事実上手続きを代行してくれることもあります。

労災保険の申請には会社の証明が必要な欄があるため、会社の担当部署に記入を依頼して、準備を進めましょう。

たとえば、次のような書類を提出します。

労災保険が病院に直接費用を支払う場合

一度立て替えた治療費を請求する場合

労災事故で治療中の対応の注意点

労災事故で治療中の場合、次の点に注意しましょう。

定期的な通院

医師の指示に従い、定期的に通院を続けましょう。また、症状を漏れなく医師に伝え、必要な治療や検査を受け、リハビリに取り組みましょう。

医師の指示に従わず通院を中断してしまうと、労働災害と傷害の因果関係が疑われたり、症状が軽いと判断されてしまったりすることがあります。

定期的な会社への報告

治療の経過や復職の見込みについて、定期的に会社に報告をしましょう。会社との信頼関係を維持し、職場復帰がスムーズになります。

休業中の生活費の確保

労働災害で仕事を休業している間は、通常ですと会社から給料は支払われません。長期の休業が必要となった場合など、生活が困窮する場合があります。そこで、労災保険の「休業(補償)給付」を申請しましょう。

休業4日目から、休業1日につき給付基礎日額の60%が支給されます。さらに特別支給金として20%が上乗せされるため、合計で80%が補償されることとなります。

ただし「休業(補償)給付」は、労働基準監督署に申請をしてから実際に振り込まれるまでに時間がかかる場合もあるため注意が必要です。

治療費の打ち切り打診への対応

治療がある程度長期間に及ぶと、「そろそろ症状固定にしてはどうか」と治療終了や治療費の打ち切りを打診されることがあります。

治療によって症状改善が見込まれるのであれば、治療終了すべきかどうかは慎重にしましょう。「治療を継続する必要があるか」「治療を終了するべきかどうか」は、主治医の医学的な見地からの判断も尊重しましょう。

万が一、治療終了・治療費の打ち切りを打診された場合、まずは主治医に今後の治療によって症状改善が見込まれるか相談しましょう。

症状固定を慎重に判断

症状固定とは、これ以上治療を続けても改善が見込めない状態のことです。

症状固定は医学的な判断なので、主治医が症状の経過を診て判断します。

症状固定になると治療に一区切りをつけることになるため、治療費や休業補償などを受けられなくなる点に注意が必要です。

さらに、症状固定の時期は、後遺障害の等級認定や会社への損害賠償請求にも影響を与えることがあるため、慎重に判断する必要があります。

後遺障害申請に向けた準備

治療にもかかわらず後遺障害が残ってしまった場合、主治医に 後遺障害診断書の作成を依頼します。後遺障害診断書には専用の書式があります。適切な後遺障害の等級認定を受けるためには、主治医に後遺障害診断書を詳細かつ正確に記載してもらうことが非常に重要です。

後遺障害の申請は、後遺障害診断書やMRI・レントゲンといった検査画像等の必要な書類を揃え、所轄の労働基準監督署へ申請を行います。

よくあるご質問

会社が労災申請に協力してくれません。どうすればよいですか?

そもそも労災申請は労働災害にあわれた労働者ご自身が行うのであり、会社が請求するわけではありません。そのため、会社の協力がなくとも労災申請は可能です。

もっとも、会社が労災保険の請求書の事業主証明欄への記入を拒否することがあります。

この場合、まずは、会社が事業主証明欄への記入を拒否している理由を確認し、会社に記入を求める交渉をしましょう。それでも会社が記入を拒否する場合、労働基準監督署に相談しましょう。

労災申請は労働者の正当な権利ですので、労働基準監督署も柔軟に対応してくれることがあります。

自分に不注意(過失)がありました。労災は使えますか?

もしご自身に不注意(過失)があって、事故の原因の一端であったとしても、労働災害であれば労災保険は適用されます。労災保険は、被災した労働者を保護することを目的とした制度であるためです。

ただし、会社に安全配慮義務違反などがあり、会社に対して損害賠償請求を行う場合には、過失割合に応じて損害賠償額が過失相殺されることとなります。

事故直後や治療中に示談書や念書を作成してもよいですか?

事故直後や治療中の段階で、会社から「見舞金」などと引き換えに示談書や念書への署名を求められることがあります。しかし、安易に署名をしてはいけません。

事故直後や治療中という治療見込や後遺障害等級が不明な段階で示談書や念書を作成してしまうと、後から重大な後遺障害が判明しても追加の請求ができなくなってしまう可能性があります。

まずは弁護士に無料相談

労働災害の手続きは複雑で、労働災害直後・治療中・後遺障害申請などの各段階で専門的な判断が必要となります。判断を誤ると、本来受け取れるはずだった適正な補償を受けられなくなることもあります。

よつば総合法律事務所では、労働災害にあわれた方のために無料相談を実施しています。手続きの流れや、今何をすべきかなど、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。

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